上映日誌

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2018年2月18日(日)

18日(日)は、木村監督の第2作目の作品であり、デビュー作の『へばの』と24日(土)から公開される『息衝く』の橋渡し的な作品である『愛のゆくえ(仮)』のリバイバル上映が行われました。

ご登壇者は、主演・脚本の前川麻子さん、プロデューサーの高橋和博さん、木村文洋監督の3人です。

トークは木村監督の『愛のゆくえ(仮)』の制作の経緯の説明から始まりました。

「企画を発案したのが2012年の今頃でした。2011年は東日本大震災があった年ですが、その年末に元オウム真理教の幹部・平田信が、公訴時効が成立しているにもかかわらず、12月31日に自主的に出頭しました。 その17年間の逃亡を、本名を隠して支えていた女性信者がいたのです。 はじめは逃走のための疑似夫婦を演じる、という二人だったのですが、それが愛情に変わっていったと…その17年間はなんだったのか。 この出頭に前川さんがインスピレーションを得て、脚本を書いた、ということがこの作品の制作のきっかけです。」

「今、ご覧になってみてどうですか?」という主演の前川さんに対する木村監督の質問に、前川さんは、
「大きなスクリーンで観たのは久しぶりだったので面白かったです。元々は演劇の台本ということもあるのですが、会話の量、一つ一つが今聴くと生々しく、個人的に変な印象もあり、やはりあの時期のものだな、と。新鮮に聴こえて来ました。」と感想を述べました。

当時、演劇の台本として考案されていた―前川さんが執筆した2本の台本から、演劇化されなかった台本を、高橋プロデューサーは映画化することを希望しました。
高橋プロデューサーは、 最初、観客の目の前の2人が誰か分からず、徐々に徐々に正体がわかっていく構成、女性側の「今日、私は17年ぶりに本名を名乗ります」との出頭時の言葉に強く打たれた 、と語りました。

木村監督は続けて、
「逃亡していた二人はずっと部屋にいるしかない時間を送り、その17年間は、どうやったら次に向かうのか。いつ醒めるのか分からない夢のようなものであったかもしれないと想像しました。そして大震災のような災厄が起こっても、部屋からそれをみているしかないという実感は、当時私が抱いていた実感にもつながるものでした。 自身の部屋に生きている時間、たった一人の、目の前の隣人との会話によって自身を確認する“部屋の映画”を通して、2011年当時の空気を刻みたかったのかもしれません。」と当時を振り返りました。

24日(土)から公開の『息衝く』については、前川さんは、
「寺十吾さんは、『愛のゆくえ(仮)』より、『息衝く』の方がより木村監督との息が合っているように感じていてとても良かった。相変わらず、逃げ続ける男ですが 笑 」とコメント。

高橋さんは、『息衝く』について、
「観たら何かを言いたくなる映画だと思います。なので、ぜひ、多くの方々に観て欲しいです。」と語り、舞台挨拶を締めくくりました。

2011年末の出頭劇から得たインスピレーションがご登壇者の3人に乗り移ってできた『愛のゆくえ(仮)』。
そんな創作に対する情熱が伝わるお話でした。
上映は今後も続きます。

【今後の上映スケジュール】
■2月20(火)『へばの』
■2月21(水)『愛のゆくえ(仮)』※上映後、監督、プロデューサー加瀬修一 舞台挨拶
■2月22(木)『へばの』※上映後、監督舞台挨拶
■2月23(金)『愛のゆくえ(仮)』
(20日~22日も監督来場予定)
■料金:1,300円均一 ※リピーター割引実施!半券提示で1,000円
■場所:ポレポレ東中野(https://www.mmjp.or.jp/pole2/)

【23日(金)19時~公開前夜祭イベント】
映画『息衝く』前夜祭イベント「“正しさ”とは何か―息衝くわたしたちの運動」
■場所:渋谷LOFT9
■出演:
鈴木邦男(政治活動家)
宮台真司(社会学者)
杉田俊介(批評家・『息衝く』脚本)
木村文洋(『息衝く』監督)
■ライブ:北村早樹子(ミュージシャン、『息衝く』音楽)
■チケット:Peatix(https://peatix.com/event/344530)

ふるってご参加ください。